maeday031201
国際学部国際社会学科 前田佑介
[第6回卒論レジュメ]
【PFIの事例研究】
T 埼玉県杉戸町「(仮称)生涯学習センター整備等事業」
http://www.town.sugito.saitama.jp/webdata/kyouiku/shougaigakushuu/jitshi_web/jitshihoushin.pdfを参考、引用)
杉戸町は、(仮称)生涯学習センター整備等事業を民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)に則り、実施することとした。
○建設計画地 ―杉戸町大字大島字沼地内
○事業目的−本事業は、第4次杉戸町総合振興計画の中で位置付けられた「生涯学習活動の拠点施設として図書館本館機能を兼ね備えた」生涯学習センターの整備を図るものである。
○事業内容 ―下記の部門から構成される生涯学習センターの整備・運営維持管理を実施する。
ア総合共通部門
イ資料・情報部門
ウ学習・創造活動を支援する部門
エ管理・運営部門
また、付帯事業として隣接する運動広場の運営維持管理業務も実施する。
○事業の範囲 ―本事業は、PFI法に基づき、新たに生涯学習センターの設計、施工、運営維持管理業務及び付帯事業を遂行することを事業の範囲とする。
また、具体的な事業範囲は次の業務を含むものとする。
なお、資料・情報部門(図書館本館機能)の運営維持管理業務、図書館情報システム及び図書館情報ネットワークの設計・構築・運営維持管理業務については、町が自ら実施する。
ア生涯学習センターの建設及びその関連業務
(ア)工事監理
(イ)施設の設計及びその関連業務
(ウ)施設の土木・建築工事及びその関連業務
(エ)施設の機械・電気・給排水設備工事及びその関連業務
イ生涯学習センターの運営維持管理業務
(ア)施設の運営維持管理業務
(イ)施設及び敷地内の清掃業務
(ウ)施設及び敷地内の警備業務
ウ付帯事業
運動広場の運営維持管理業務
○事業スケジュール
ア実施方針に関する質問回答、意見招請 平成14年8 月
イ特定事業の選定の公表 平成14年9 月
ウプロポーザルの公告 平成14年9 月
エ事業者の決定 平成15年3 月
オ民間事業者と仮契約締結 平成15年5 月
カ民間事業者と本契約締結 平成15年7 月
キ施設建設完了(性能確認済) 平成17年10月
ク供用開始(平成17年度開館) 平成18年3 月
ケ事業終了 平成38年3 月
○事業方式 −生涯学習センターの施設特性や事業範囲等の観点から、BTO方式(Build, Transfer and Operate:民間事業者が施設を建設し、竣工後速やかに町に所有権を移転し、事業期間中、運営維持管理業務を遂行する方式)を事業手法として整備を行う。
○事業の継続が困難となった場合の措置に関する事項
―基本的な考え方
契約には、運営維持管理期間中に事業の継続が困難となった場合(民間事業者の経営の破綻、又はその懸念が生じた場合等)、責任の所在を明文化するとともに、その規定に従い対応することとする。
特に、民間事業者がその責に帰すべき事由により債務不履行に陥った場合、民間事業者が再び事業を継続することが事実上不可能と認められる場合を除き、町は、民間事業者に一定の回復期間を与えて、民間事業者の事業遂行能力の回復を待つこととする。
但し、サービス提供に重大な遅滞等が懸念される場合、あるいは民間事業者の事業遂行能力の回復が不可能であると判断される場合には、町は、民間事業者との契約を解除し、運営維持管理に係る新たな民間事業者を公募することを原則とする。
U〈聞き取り調査等〉
・11月24日 (仮称)生涯学習センター整備事業に係わる住民説明会
場所:杉戸町役場
説明者:生涯学習施設建設準備室長
その他:教育長・日本総研研究員・建設準備室職員
〜主な説明内容等〜
・今回がこのPFI事業に係わる初めての住民説明会で、住民の参加者もかなり多いものかと思ったが、自分が参加したAM10時〜11時半の部の参加者は20人だった。
・説明会はパワポ画像をスクリーンに映したものと、配布資料をもとに進行。
・パワポ画像の内容は
1、 企画の経緯
2、 PFI事業とは
3、 事業の内容
4、 PFI事業の応募5グループ
5、 提案の概要
6、 部門別面積表
7、 施設の特徴
8〜18、鳥瞰図や透視図
19、スケジュール
20、(仮称)開館記念事業実行委員会の設立(案)
21、(仮称)運営サポーター組織の検討
・11月26日 杉戸町生涯学習施設建設準備室へのヒアリング
主な質問内容と回答
Q:従来方式よりPFI方式は26,2%も町負担が安いということだが、どうしてそこまでのコスト削減ができたのか。
A:PFI方式でやることは、例えるならば大工が自分の家を建てて、そこに住むのと同じこと。大工が建てて依頼主に引き渡す従来方式より安いのは当然。
Q:その例えで言うならば、PFI方式での大工は利益が得られず生活できないのではないか。
A:ただ、実際にPFI方式の方が安いという算定が出されているので、コスト削減が図られるのは間違いない。
Q:従来方式のコスト算定方法は。
A:町内にすぎとピアという、デイケア等ができる施設がありそこを参考にした。
Q:福祉施設と今回の生涯学習施設は、利用目的も施設のつくりも異なるのではないか。
A:参考にした最大のポイントは、杉戸町のゆるい地盤に耐えうる基礎部分である。杉戸町では基礎工事の段階で、相当深くまでボーリングをしなくてはならない為、比較的基礎にかかるコストの割合が大きくなってしまう。その点ですぎとピアを参考にした。
Q:そもそもすぎとピアは二階建てで、生涯学習施設は平屋だ。平米あたりの単価は単純に比較できないのではないか。
A:その点は単価を割り引いて算定している。
Q:建設予定地を見学したが町の中心地から遠く、宮代町図書館利用者中の30%を占める杉戸町民が、新しい生涯学習施設を積極的に利用するとは思えないが。
A:宮代町図書館を利用する杉戸町民の何パーセントが、生涯学習施設を利用するかといったシミュレーションはしていないが、現在、春日部市・宮代町・庄和町・杉戸町での合併が協議されており、合併された場合には同じような施設にならないような建物にしようとしている。
Q:可能性調査等を委託した日本総研にはいくら払ったのか。
A:13年度と14年度の2年で1000万円。他と比べるとかなり安いので、他の自治体等から問い合わせがあってもあまり参考にしないよう伝えている。
・11月26日 「杉戸町の図書館を考える会」代表濱田氏へのヒアリング
Q:24日の住民説明会にも出席しておられたが、質疑に対する町の対応に関してはどう感じたか。
A:建設計画地に関する回答が、今回のPFI事業への町の態度全てを象徴している。
計画地の検討を他でも行わなかったというのはあまりに杜撰だ。
Q:住民参画の検討委員会には何人の会員が選ばれたのか。
A:検討委員20人の内、3人が会員から選ばれた。
Q:建設検討委員会で検討された内容は。
A:検討以前から、すでに建設予定地・建物面積(総床面積6000u)・予算(約20億円)は決められていた。このような限られた枠の中で、蔵書数や建物内の各施設部門の面積割り当て、などについて検討した。
検討の結果、開架数は14万2500冊・図書館部分の床面積は2018u・座席数は140席という案を作った。住民参画の検討委員会とは別の庁内検討委員会で作成された「(仮称)生涯学習センター整備基本方針」では、住民参画での計画はA案として扱われ、ほかにB案、C案が提示されており、結局C案が採用された。
C案は開架数が10万7500冊・図書館部分の床面積は1690u・座席数は105席で、検討委員会への説明もなしに変更された。
Q:PFIで図書館をつくる場合のデメリットは。
A:図書館をつくる上で最も重要な過程は設計だ。図書館設計に精通した人ならば、蔵書数や利用者数が増大した場合を考え、書庫・閲覧スペースが拡大できるようなつくりにする等の工夫をする。PFIでは設計から建設・管理・運営までがすべて一体なため、設計段階に住民などの意見を取り入れにくい。